さて、皆さんは毎朝、本校の正門をくぐり、坂道を登っていますが、そのとき何かを感じませんか?この門は本校の前身である松山女学校の正門として、昭和3年にアメリカ人の建築家J.H.モーガン氏が設計しました。背面にある松山城と馴染むよう城郭型にしたようにも思えるし、また洋風な感じも漂う全国的にも大変珍しい建築物です。幸いにもこの門だけが戦禍を逃れ、今も堂々とした佇まいで、毎日東雲に集う私たちを見守ってくれています。これまでの長い歴史の中で、生徒たちは何を思いこの門と共に青春の時を過ごしたのでしょう。私は、昔イギリスのケンブリッジ(Cambridge)大学を訪ねたことがあります。ケンブリッジという名前の由来は、ケム川(Cam)に架かる橋(Bridge)から取っています。その川を、舟でこぎ出すとヴィクトリア女王お気に入りのゴシック様式のSigh Bridge(ため息橋)という美しい橋が見えて来ます。長い歴史の中、試験を受けに行く学生がため息をつきながら橋を渡っていたことから名前が付いたと伝えられています。私にはこの橋が東雲の正門と重なります。
私は晴れた日はいつも、JR松山駅から歩いて登校しているので、正門までたどり着くと、立ち止まり、ほっとしながらも、「今日もまた新たな学園ドラマが始まるぞ」と自分に言い聞かせる、まるで武将が兜の緒を締めるような感慨深い瞬間です。皆さんも、過去から現在に至るまでの多くの先輩たちのため息ならぬ、息吹きを感じながらこの門をくぐってみてください。
Be careful about heat stroke. Make this summer yours!