2022年3月2日水曜日

3月号

 三寒四温に包まれて、どこからともなく別れの序奏を聞くような思いで過ごす時期となりました。菜の花や梅の花が咲き誇り、桜のたよりも聞こえてきます。皆さんは今、学年末考査を終えてほっと一息ついている頃かなと思います。終業礼拝までの2週間、そして新学期までの春休みを、今年度の学習における弱点の補強や新しい学年に良いスタートを切るための準備期間として有意義に過ごしてください。
 さて、去る3月1日にはコロナウイルスの影響で規模は縮小しましたが、東雲らしい厳かな卒業式を行うことができました。式辞で私が話したのは、次の通りです。卒業生を待ち受けている社会は、大変厳しい状況にある。社会環境の複雑性が増し、次々と想定外の事が起こり、将来の予測が困難になってきている。中でも、夏の豪雨災害、冬の大雪など地球温暖化に伴う気候変動や、全人類が今格闘しているコロナ・パンデミックなどは由々しき難題である。しかし、これらに遭遇することで、災害対策はどうあるべきかを考えたり、社会を歪ませているさまざまな問題に気づいたりすることができた。同時に、人と人とのつながりの大切さや、日常のかけがえのなさなども切実に感じさせられた。これから遭遇する問題にはすぐに正解は得られないかもしれないが、やるべきことは、デジタル化が進む社会の中で情報活用能力を高めること。そして、様々な人々と出会い、交流し、見聞を広め、体験を豊かにすること。受身的な学びではなく、自分の目で確かめ、自分の頭で考え、判断すること。そういう本物の学びの経験を積み重ねていけば、自分の中に揺るぎない確固たる生き方を持つことができ、困難を乗り越えることができるということ。また、女性であるということだけで、頑張っても報われない男性優位の誤ったジェンダー意識と遭遇することがあるかもしれないがその時こそ、「高遠なる理想」「敬虔なる信仰」「真摯なる努力」「清純なる愛情」「私心なき奉仕」の校訓の下、女子校で培った心のしなやかさや共感力を土台にして、勇気を持って立ち向かってほしい。そのことが必ずや日本を、そして世界を変える原動力にもなるということ。そして、式辞の終わりに、ジョンレノンのimagneの歌詞の一節を朗読しました。人生は1回限りであり、その人生に豊かに広がりをもたらしてくれるのは、自分の目に見えないものや実際には経験できないことを想像する力を持つことで、見知らぬ誰かの喜びや感動、悲しみや苦しみを想像して共感し、行動を起こしてほしいとエールを送りました。
 今年度の「校長室だより」を1年間お読みいただきありがとうございました。3月末には特別号を出す予定にしていますので、ご覧ください。