2022年3月26日土曜日

特別号

 道後平野も冬の眠りから覚めて、笑う春になりました。
 さて、10年間大変お世話になりました。今月末をもって定年で本校を去ることとなりました。スクールアドバイザーとして7年、校長として3年間勤めさせていただきました。皆さんの笑顔あふれる姿、そしてこの2年間はコロナに負けないでひたむきに頑張る姿にいつも励まされました。また、生徒一人一人を大切にする熱心な先生方の指導で、大学進学や部活動等各方面ですばらしい成果を上げていただきました。
 4月1日に、副校長の染田祥孝先生が校長に就任されます。染田先生は、県立松山南高校校長を勤められた後、東雲に来ていただきました。先生は、教育センターの所長や高等学校長を歴任し、教育委員会にも長年勤められた、教育全般に造詣が深く、見識の高いすばらしい先生です。染田先生のリーダーシップの下、松山東雲中学・高等学校は今後ますます飛躍することと確信します。皆様方のご支援・ご協力をよろしくお願い申し上げます。
 最後になりましたが、私の周りで陰になり日向になり支えてくださいました諸先生方、事務室の方々、保護者の皆様、同窓会の皆様、また、私がお会いしたすべての方々に感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。
 
    What though the radiance which was once so bright
    Be now for ever taken from my sight,

    Though nothing can bring back the hour

    Of splendor in the grass, of glory in the flower,

    We will grieve not, rather find

    Strength in what remains behind;


                                                  William Wordsworth

 


2022年3月2日水曜日

3月号

 三寒四温に包まれて、どこからともなく別れの序奏を聞くような思いで過ごす時期となりました。菜の花や梅の花が咲き誇り、桜のたよりも聞こえてきます。皆さんは今、学年末考査を終えてほっと一息ついている頃かなと思います。終業礼拝までの2週間、そして新学期までの春休みを、今年度の学習における弱点の補強や新しい学年に良いスタートを切るための準備期間として有意義に過ごしてください。
 さて、去る3月1日にはコロナウイルスの影響で規模は縮小しましたが、東雲らしい厳かな卒業式を行うことができました。式辞で私が話したのは、次の通りです。卒業生を待ち受けている社会は、大変厳しい状況にある。社会環境の複雑性が増し、次々と想定外の事が起こり、将来の予測が困難になってきている。中でも、夏の豪雨災害、冬の大雪など地球温暖化に伴う気候変動や、全人類が今格闘しているコロナ・パンデミックなどは由々しき難題である。しかし、これらに遭遇することで、災害対策はどうあるべきかを考えたり、社会を歪ませているさまざまな問題に気づいたりすることができた。同時に、人と人とのつながりの大切さや、日常のかけがえのなさなども切実に感じさせられた。これから遭遇する問題にはすぐに正解は得られないかもしれないが、やるべきことは、デジタル化が進む社会の中で情報活用能力を高めること。そして、様々な人々と出会い、交流し、見聞を広め、体験を豊かにすること。受身的な学びではなく、自分の目で確かめ、自分の頭で考え、判断すること。そういう本物の学びの経験を積み重ねていけば、自分の中に揺るぎない確固たる生き方を持つことができ、困難を乗り越えることができるということ。また、女性であるということだけで、頑張っても報われない男性優位の誤ったジェンダー意識と遭遇することがあるかもしれないがその時こそ、「高遠なる理想」「敬虔なる信仰」「真摯なる努力」「清純なる愛情」「私心なき奉仕」の校訓の下、女子校で培った心のしなやかさや共感力を土台にして、勇気を持って立ち向かってほしい。そのことが必ずや日本を、そして世界を変える原動力にもなるということ。そして、式辞の終わりに、ジョンレノンのimagneの歌詞の一節を朗読しました。人生は1回限りであり、その人生に豊かに広がりをもたらしてくれるのは、自分の目に見えないものや実際には経験できないことを想像する力を持つことで、見知らぬ誰かの喜びや感動、悲しみや苦しみを想像して共感し、行動を起こしてほしいとエールを送りました。
 今年度の「校長室だより」を1年間お読みいただきありがとうございました。3月末には特別号を出す予定にしていますので、ご覧ください。





2022年2月7日月曜日

2月号

 コロナ禍に見舞われてもう二年がたとうとしています。現在もオミクロン株の感染拡大がつづいており、気の抜けない毎日です。これまでどおり警戒感を持って予防対策をしなければなりません。繰り返しになりますが、手洗いの励行、マスクをつけて、3密回避などの徹底。朝起きて、発熱など、体調がよくない場合は無理をせず学校を休んで、医療機関を受診。家族の体調が悪い場合も登校をしないで様子をみる。校内では寒いですが定期的に部屋の換気をし、昼食は黙食を徹底してください。皆で頑張ってこのピンチを乗り越えましょう。 
 先週の土曜日に、1年間の学習活動の成果を皆の前で発表する中学校の伝統行事、「スプリングフェスティバル」がチャペルで開催されました。発表内容の豊富なすばらしいフェスティバルになりました。第1部は、琴の演奏で始まり、職場体験や「道後巡り」の動画発表、ダンス部の発表がありました。第2部は、演劇部、吹奏楽部の映像による公演、そして恒例の中3生によるオリジナル英語劇がありました。SDGsをテーマにした脚本で、スクリーンに字幕を映すなどの工夫も見られ例年にも増してすばらしいものになりました。同時開催の、展示発表では、中1生の粘土で作った和菓子や小箱、木工作品等の展示。中2生のフラワーアレンジメント、生け花、砥部焼絵付け作品、美術部による作品展示。中3生の俳句や手作り絵本、また杖ノ淵公園の水質調査のレポートによる展示発表がありました。全体を通して中学生が一つになり、皆が一生懸命取り組んでいる姿に感動しました。中学生の皆さんはサタデースクールを利用しての準備などご苦労様でした。 
 さて、皆さんは昨年アメリカ大リーグ最優秀選手MVPに輝いた大谷昇平選手を知っていますか。野球にあまり関心のない人も、彼が投手(投げること)と打者(打つこと)を両立する二刀流で偉業を成し遂げたことは知っていると思います。彼は日米の野球ファンのみならず、他チームからも愛される存在となっています。それは彼の野球におけるスキルはもちろんですが、人として尊敬できるところにあると思います。球場のゴミを拾ったり、審判に見せる表情、道具を大切にするなど何気ない態度や行動です。ホームランを打った時も、勝利投手になった時も有頂天にならず、冷静に次への目標を定め、「謙虚」に、前向きにチャレンジしています。彼の登場で、野球での偉業を越えて、人間性の価値が見直されていることは、すばらしいことです。本校の教育目標を覚えていますか。「品格・品位を身に付けしなやかに生きる女性の育成」です。大谷選手の人となりから、皆さんも何か学びとってもらいたいものです。 
 「1月は行く、2月は逃げる、3月は去る。」と言いますが、本年度も残り少なくなってきました。学年末考査の発表ももうすぐですね。それぞれが計画的に勉強して臨んでください。高3生は卒業を前にそれぞれがやるべきことを果たしてください。

 All's well that ends well. So, be serious about everything in this term.



2022年1月7日金曜日

1月号

 明けましておめでとうございます。皆さん、有意義な冬休みでしたか。「一年の計は元旦にあり」と言われますが、新しい年の目標を立てましたか。いよいよ令和4年、西暦2022年の幕が開けました。昨年の世相を表す漢字は「金」でありました。東京オリンピック・パラリンピックで日本人選手が多くの金メダルを獲得したり、将棋の藤井聡太さんが最年少四冠を達成するなど、各界で金字塔が打ち立てられたことが理由のようです。今年こそはコロナの収束がなされ、「金」に負けない輝かしい1年であってほしいものです。
 さて、昨年末頃までコロナの感染状況は落ち着いていたのですが、年が明け県内でも感染者が出てきており、今後オミクロン株の陽性者も増加することが心配されます。デルタ株よりも感染力が3倍も4倍も強いと言われているオミクロン株に感染しないためにこれまで以上に予防対策をしなければなりません。まずは皆さん朝起きて、発熱症状があったり、体調がよくない場合は無理をしないで学校を休んで様子をみてください。校内では寒いですが定期的に部屋の換気をしてください。昼食時は必ず黙食を心がけてください。そしてこれまでやってきた、手洗いの励行、マスクをつけて、3密回避などの感染防止対策を徹底してください。皆で頑張ってこのピンチを乗り越えましょう。
 3学期は、一年の締めくくりの学期であります。1、2学期と違い、日数的には短い学期ですが、「本気でやれば」十分に使える時間があります。中学1年生から高校2年生にとって、3学期は、学年の総仕上げの学期、特に中学3年生にとっては、義務教育最後の学期でもあります。全学年とも勉強はもちろんのこと部活動等の諸活動に東雲生としての自覚をもって、一人一人が、やれた、やったという成就感を持てるよう、早く正月の休み気分を一掃して、新しい年の第一歩を踏み出してください。高校3年の受験生にとっては、いよいよ大学共通テストですね。これまで蓄えた力が充分発揮できるよう願っております。また中学3年生は修了式、高校3年生は卒業式という人生の大きな節目を間近に控えています。まさに本校での3年間あるいは6年間の集大成とも言える時期となりました。All's well that ends well.「終わりよければすべてよし」という言葉がありますが、一人一人が「本気」になって、自分の目標の達成に向けて努力し、「有終の美」が飾れるよう切に願っています。

 Let's get started for your own goal. Thank you.



2021年12月2日木曜日

12月号

 朝、校門をくぐり、落ち葉を踏みしめながら坂道を登るとき、冷たい風に冬の訪れを感じます。11月17日にアドベント (Advent:イエス・キリストの降誕を待ち望む期間)の恒例行事としてクリスマスツリー点灯式が正門前で行われました。昨年はコロナウィルス感染予防のため、生徒は宗教委員のみが参列し、讃美歌を歌うこともできず、寒さに震えた記憶がありますが、今年は感染状況も少し落ち着いたので、有志が集まり盛大に行うことができました。夕闇迫る中、色とりどりのイルミネーションが点灯され、キャンドルキッスにより各自が手に持つろうそくに灯がともりました。そこで、聖書を朗読し、讃美歌を歌いました。安らかな時間が流れ、参加者の心にも灯がともり神聖な気持ちになりました。寒さが増すにつれ、コロナ感染の第6波が到来すると専門家は注意を呼びかけています。普段からやっている基本的な感染対策を徹底しましょう。また、インフルエンザ流行の兆しも見えます。高校3年生にとってはいよいよ受験シーズン本番ですね。くれぐれも体調管理に気を付けてください。

 さて、毎年秋にはノーベル賞の受賞者が発表されます。今年は本県四国中央市出身の真鍋淑郎氏がノーベル物理学賞を受賞しました。大気中の CO2濃度の上昇が、地球表面の温度の上昇をもたらすメカニズムを解き明かしました。近年温暖化の影響とみられる異常気象が続いており、夏には年々台風が大型化し、長雨や豪雨などの異常気象による災害が日本各地で頻発しております。気候変動は人類の生存が懸かる重大な問題です。皆さんも是非この問題に関心を持って、行動を起こしてもらいたいと思います。その真鍋氏が記者会見で「好奇心が原動力になった。最もおもしろいのは、好奇心に基づいた研究だ。」と語っていました。Curiosity(好奇心)という言葉を繰り返し使い、研究にかけてきた情熱を表現していましたが、この言葉から私たちは学ぶべきことがたくさんあります。

 秋は収穫のシーズンでもあります。My Garden でも春に種を蒔いた野菜が成長し、先日サツマイモ、ピーマン、ブロッコリーなどを収穫しました。また、これからタマネギやそら豆などの新たな苗を植えます。皆さんも、4月にスタートさせた学習や部活動等の成果がそれぞれこの時期に実り始めます。学期末試験はできましたか。部活動はじめ、今学期のいろいろな取り組みにおいて成果は出せましたか。今こそ、学習はもちろんのこと学校生活を振り返り、改善に結びつけてもらいたいものです。世界中がコロナに翻弄された2021年もあと少しですね。来年こそはと祈るばかりです。皆さんが楽しみにしている冬休みですが、感染対策を実践しながら、計画的に過ごし、有意義な年末・年始にしましょう!

Merry Christmas and all the best in the New Year!




2021年11月2日火曜日

11月号

 朝夕めっきり寒くなってきましたが、昼間は秋晴れの心地よい風を感じる季節となりました。 毎年地方祭の頃に咲くキンモクセイ、今年は急激な温度変化が原因で開花が遅れていたようですがようやく咲き始めあちらこちらからいい匂いが感じられます。皆さん元気で頑張っていますか。中間考査の結果はどうでしたか。できなかったところを復習して覚え、今月末の期末考査に備えてください。
 さて、中間考査が終わった翌日、坊ちゃん劇場の観劇と遠足を行いました。計画当初は、コロナのために実施できるか心配していましたが、ちょうどその日から、幸いなことに本県のコロナ対策のレベルが感染縮小期に引き下げられました。今回の坊ちゃん劇場のミュージカルはどうでしたか。高知の貧しい漁師の家に生まれ、波瀾万丈の人生を送りながら、日米の架け橋となったジョン万次郎。その妻、鉄の視点から描いた物語。時代の波に翻弄される中、力強く生きる彼女の姿は、今と重なるところもあり共感した人も多かったのではないでしょうか。さまざまなジャンルの歌や、踊りがあり、最後はペンライトを振りながらキャストと一体となってフィナーレを迎えるなど、楽しい思い出になりましたね。その後、中学校と高校の各学年に分かれての遠足となりましたが、どうでしたか。何か新たな発見がありましたか。 
 また、9月開催から延期になっていたクローバーデイですが、生徒会を中心にさまざまな工夫とアイデアを出し合いすばらしい行事にすることができました。午前中のステージ発表は、琴同好会の演奏からスタートし、部や同好会、有志が歌にダンス、楽器演奏と練習の成果を発表しました。舞台狭しと躍動を感じる演目や東雲らしさが感じられるものなど、演出も抜群で見応えがありました。時がたつのも忘れ気がつけば最後の「しのすい」の演奏になっていました。ランチタイムに、皆さんがやりたかった焼きそばやカレーなどの屋台を出すことは今年もかないませんでしたが、PTA役員の皆さんが地元飲食店に呼びかけて特製弁当を手配していただき、文化祭を盛り上げていただきました。午後は、文化部等の展示や模擬店。デジタル技術を巧みに使い、先生が登場するパロディのビデオ作品を鑑賞する教室もあり盛り上がりました。皆さんのこれまで一生懸命やってきた成果が随所に示され、本年度のスローガン「千紫万紅(せんしばんこう)」の言葉どおり、色とりどりの花が咲き誇りました。今年も、保護者には観覧を遠慮していただきましたが、後日配信する動画で楽しんでもらえればと思います。  コロナの感染状況も落ち着いてきましたが、油断することなく基本的な予防策を取りながら、東雲スクールライフを楽しみましょう。  Go for it ! Shinonome!


2021年10月6日水曜日

10月号

  「秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる」(古今和歌集)という歌を、この時期になるといつも思い出します。 秋が来たと、はっきりと目にはみえないけれど、風の音で(秋の到来に)はっと気づく。なかなかいい歌だと思いませんか?長くて暑い季節が過ぎ去り、ようやく涼しくなってきました。コロナの感染者も全国的に減少し、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出ていた地域も先月末で全面解除となりました。本県も感染対策を一段階緩めて感染警戒期となりましたが、まだまだ油断はできません。感染対策として、「会食はルールを守る」ことが求められていますが皆さんはできていますか?黙食という言葉もあります。昼食は友人とおしゃべりをしながら取りたい気持ちはよくわかりますが、コロナウイルスは飛沫によって感染するわけですから、ここは慎重にならなければなりません。食事が終わって、マスクをつけてから会話を楽しんでください。

  先日、中学生のマドンナ レシテーション コンテストの校内選考会がチャペルでありました。各クラスの代表生徒は、一人ひとり、暗唱もしっかりできており、練習成果が表れたすばらしい英語に感動しました。また、audience、listener になってくれた皆さんの聞く態度も立派で、お陰で充実した会となりました。今回の暗唱文はジェンダーに関する興味深い内容でした。ジェンダーの話と言えば、先月の中旬に、本校の松下先生の中高時代の友人で、フランスの大学院で研究されている本校OGの上野優希さんからの提案で、本校生対象のオンラインによるワークショップが開催されました。「女子ってなんだろう」というテーマのもと、「制服・校則について話してみよう」「LGBTQ+ 女子とは」「強い女性は恥ずかしい?」の3回に分けて、レクチャーと話し合いが計画されました。画面の向こうに、フランスの大学生もいてジェンダーについて活発な意見交換がなされました。世界的に見て、ジェンダーの不平等があり、女性の活躍が遅れている今の日本。女子校はジェンダーから最も解放されているし、女子校で中高時代を過ごすことでジェンダーバイアス(社会的・文化的性差別あるいは性的偏見)から離れた環境に身をおくことができる。そんな皆さんが、ジェンダーについてこのような勉強会に参加することは大変意義深いと感じました。私も短い時間ではありましたが参加して、これから日本も少しずつ確実に変わって来ると実感しました。

 今月末には皆さんが楽しみにしているクローバーデイがありますね。まだまだコロナ感染の状況がどうなるかわかりませんが、皆さんの英知を結集し、思い出に残る安全で楽しい文化祭にしましょう。

 You will have mid-term exams soon. Please prepare well for them.